いつの間にか波の音がしなくなっている。
 心地よい青い空の下、絶好の船出日和だったのに、強制的に船はその歩みを止められてし
まった。

 ギインが甲板に上がると、太陽は真上に昇り、全てを焼き尽くすような日差しが降り注いでい
る。肌がチリチリと痛む感覚。
 朝と夜以外は、日差しが強すぎて身体に悪いため、外に出ないのが商船団の鉄則。

「というのに、全く今度の来客はタチが悪い」

 無理やり引きずり出された商人たちは、それぞれに得意の武器を持って二人の黒いスーツ
を着込んだ男を取り囲んでいる。
 一人二人と襲いかかり、一人二人とその場にあっけなく倒されてゆく。

「まぁ、そりゃそうやんな。みんな、所詮商人やし」

 カナの言うとおり、海賊などと呼ばれても、かの国最強の武芸を誇ると謳われる政総部に勝
てるはずがない。

「大丈夫なんギイン?」

 ギインは急に真顔になると、拳を握り締める。

「大丈夫だよ、この通信教育で鍛えた東国の武術、カラテを使えば……」
「絶対嘘や!?」

 切れの良い突っ込みに笑ってしまう。カナはそうでなければ。泣いているカナなどカナらしくな
い。

「カラテは冗談として、ここは商人らしく頑張るよ」

 心配そうなカナに見送られて、黒い二匹の野獣に近づいてゆく。

「ギイン……てめぇ!」

 灰色の野獣が鋭く睨みつけてくる。

「みんな下がっていいよ」

 商船団員たちは、言われたままに数歩下がる。

「咲はどこだ? 無事だろうな?」
「どうして咲様がここにいると思うのですか?」

 刀を構えた谷口は、淡々と報告する。

「咲様の有無は確認しておりません。ただ、咲様探索中に、国益所員が妨害および、暴力行為
を受けたため、事情を聞くべく私どもはここにおります」

 二人の足元には、気を失っている仲間が複数転がっている。

「穏やかではありませんね」
「いいかげんお前も本性を現せ」

 瑞垣は、どうしてもこのギインと言う男を好きになれない。一見優しげな瞳の奥に、犯罪者と
言う狂気を隠しているはずなのだ。

「てめぇらは、どうして黒獣を狙うんだ!?」

 前黒獣にしろ、咲にしろ、誘拐することにいったい何の意味があるのか、海賊どもの行動は
全く理解が出来ない。

「どうしてと言われましても……」

 ギインは、船内へ続く扉をチラリと確認する。もし咲がこのまま現れないようなら、黒獣など誘
拐していないと、白を切りとおせる。そのまま裁判に持ち込み、政総部から高額の賠償金を巻
き上げるという手もある。
 しかし、カンカンカンと威勢の良い足音と共に、黒髪の少女は現れた。

「咲!」

 瑞垣と谷口は、まっすぐ少女の下へとかける。

「大丈夫か!?」

 しっかりと頷き返す。

「よし、黒獣は返してもらうぜ。黒獣に危害を加えた現行犯でお前ら全員この場で処断してや
る!」

 飢えた狼のように叫ぶ瑞垣の瞳を、咲はまっすぐ見つめた。

「やめてください」
「お?」
「ご安心ください、咲様。部長の今の台詞は言葉の綾です。誰も処断しておりません」

 冷静な谷口に、さらに冷静な声を返す。

「谷口さん、刀をしまってください」

 驚く谷口。その後ろで商船団員たちがざわめいている。

「咲ちゃん?」

 不思議そうなカナの声。

「ギインさん、船を戻してください」

 笑顔を浮かべたままのギインは腕を組む。

「それは出来ません。戻れば、わたくしどもは捕まってしまいます。それでも、貴女はあの国に
戻れと」
「私、考えました。ギインさん取引をしましょう」

 スッとギインの顔から優しげな笑顔が消える。代わりに、にやりと凶悪そうに口元を歪める。

「取引ですね」
「はい」

「では、これからの会話は商談とさせていただきましょう」

 咲に何か策がある訳ではない。ただ、あるとしたら、咲はこの国では、獣として扱われ、黒獣
法と言うおかしな法律に守られているということだけ。

「私は王様の元に帰ります。でもカナちゃんや、ギインさん、商船団の皆さんが捕まってしまう
のは嫌です」

 ギインはクッと楽しそうに笑う。

「わがままなお方だ。素直な獣はいったいどこに行ってしまったのでしょうね」
「違いますよ。私は素直になったんです」

 自分のしたいことをし、言いたいことを言うと決めた。今、初めて咲は自分自身の心に素直に
なっている。

「取引です。私を帰してください。帰してくれたら、この誘拐をなかったことにします」
「な!?」

 背後の瑞垣が声を上げたが、振り返らない。

「そのようなことが可能ですか?」
「私は黒獣ですよ。ふらりと国を出てみたくなっただけ。勝手にこの船に乗り込んだんです。急
にいなくなるのには、前科がありますし」

 瑞垣と掃除をしているだけで、黒獣がいなくなったと大騒ぎになったことがある。

「今回も急にふらりといなくなったんです。そして、瑞垣さんと谷口さんに助けていただいた」

 二人を振り返ると、とても複雑な表情をしている。

「嫌だと言ったら? 貴女を誘拐したことにより、私は莫大な利益を得ました。今ここで、貴女を
帰して、誘拐をなかったことにしてもらう必要はありません」

「でしたら……」
(う、どうしよう)

 咲が困った瞬間に、バキボキと瑞垣が指を鳴らす。

「おーおー、俺的にはその方が都合がいいぜ! だったら、お前ら全員皆殺しだ!」

 商船団団員がビクリと身体を震わす。それに便乗して、咲は胸を張った。

「そ、そういうことですよ!」

 皆殺しなんてさせるわけにはいかない。お願いだから、「帰す」と言って欲しい。じゃないと、こ
の二人は、本当にこの船を血まみれにしかねない。

「面白い」

 ギインは、クッと奥へ引いたような笑い方をする。顔に入った刺青が、毒々しく見えたのは、こ
れが初めてだ。しかし。

「やれるものならやって……と、言いたいところですが」

 ぱっと組んでいた腕を外し、にこりと穏やかな表情を浮かべる。

「はいはい、では帰りましょうか」

 ギインが手を叩くと、船員たちは一斉に自分の持ち場へと戻り、船を動かすべくとりかかる。

「え?」

 ギインの余りの豹変に着いていけない。

「か、帰るんですか?」
「おや、帰らないんですか?」

 カナも呆然とギインを見上げている。その、カナのピンク色の髪に優しく手が添えられる。

「私がこういうことが嫌いだって、カナは知っていたよね?」
「うん、そうやけど……じゃあ、何で咲ちゃんを誘拐したん?」
「頼まれたからだよ」
「誰に?」
「友達さ」

 その言葉にカナはさらに眉をひそめる。

「ギインに友達がおるなんて知らんかった」
「まぁ、めったに会わないからね」

 ギインは携帯電話を取り出すと、ボタンを押す。

「うん、私だけど。そう、黒獣は帰りたいってさ」

 端的に終わる会話。
 止まっていた船が動き出す。船体のきしみと共に、波の音が聞こえ始める。

「カナ、部屋に戻ろう。これ以上ここにいると、皮膚が焦げそうだよ」

 船内へと向かうギインを咲は慌てて呼び止める。

「友達って誰なんですか!?」

 ギインの言うことが本当だとしたら、その友達と言う人が、今回の誘拐の犯人だ。

「お客様の情報は教えられません」
「だったら、前の黒獣はどこにいるんですか? 今回みたいに、ギインさんが誘拐したの?」

「教えられません……と言いたいところですが、カナの友達の友情割引と致しましょう。黒獣は
今、王城にいますよ」
「え? 嘘」

 賢者に何度聞いても、黒獣のことは教えてくれなかった。

(王城にいるなら、あわせてくれても良かったのに。もしかして、賢者さんは私と前の黒獣を合
わせたくなかったの?)

 賢者は前の黒獣のことを嫌っているようだった。それがもし、前黒獣でなく、全ての黒獣を嫌
っているとしたら。

(もしかして、この誘拐って……)

 思い当たった考えに、咲は慌てて首を振る。どうしても、信じたくない。

「ギインさん、もし私が帰りたくないって言ったら、どうなっていたんですか?」
「さぁ? 何も決めていませんでしたから」

『ああ見えて、ギインってめっちゃいいかげんやねん!』

 カナが言っていた意味が、今、ようやく分かった気がする。

(本当にいいかげんだ、この人……)

 でも、なぜか嫌な気はしない。こういうギインに魅かれて、きっとこの船に人が集まってくるの
だろう。
 ギインのそばにいると、どこにでも行けるような気がする。

(風のような人)

 咲はそう思った。




 港が近づいてくる。あれほど嫌で、逃げ出してしまいたかった異国の街が、なぜだか妙に懐
かしい。
 港には、国益所員や、王城の兵士達が溢れていた。谷口は、事情を説明するべく船に留ま
り、咲と瑞垣は、共に王城へと向かう。
 王城にたどり着くと、大広間の前まで連れて行かれた。
 瑞垣は、扉の前にいる兵士と、二言三言と言葉を交わした後で、咲を振り返り、にぃと笑う。

「今回の件を、王様に報告するが、今は会議中なんだってよ。ちょうどいいから、皆に報告して
やれよ」
「え?」

 心の準備もなく、大広間への扉が開かれる。そこには、王座と中心として、左右に椅子が並
び、知らない大人達が座っている。ただ、王座に王の姿はない。室内の視線が、一斉にこちら
を向き、痛いほどの圧力を感じる。

「逃げるなよ、ビビるな。さっきは、あんなにカッコ良かったじゃねぇか」

 ポンと背中を押される。

(そうだった、もう決めたんだった)

 決めたのなら、最後までやり通さないと。
 咲の隣で、直立した瑞垣が声を張り上げる。

「国益所政総部、黒獣を保護いたしました」

 とたんに、大広間に安堵のような感嘆が沸き起こる。

「おお」
「良くやった。して、海洋商船団は?」

 その問いに、瑞垣は答えない。ただじっと咲を見る。震える足にぐっと力を込める。

「彼らは何も悪くありません。私が彼らの旅に、勝手に同行しました」

 大広間内はざわめいたが、それは嫌なざわめき方ではない。

「おお、そうか」
「なら、何も問題は……」

 ひそひそと会話をされるが、漏れ聞こえる言葉は、都合が良いと言っている。

(これなら、カナちゃん達は大丈夫そう)

 大臣の一人が、控えていた近衛兵に声をかける。

「陛下をお呼びしろ」

 その言葉に、考えるよりも早く、身体が勝手に動いた。

「私が行きます!」

 そう叫ぶと、そのまま走り出す。

「おい、咲!?」

 瑞垣の声だけが追ってきたが、振り返らない。今、誰かが呼びに行くのはまずい。王はきっと
咲の部屋にいる。そして、絶対泣いている。
 長く広い廊下を走る。途中で、メイドや兵士とすれ違ったが、誰もとめず不思議そうに見送
る。荒くなった息を整え、扉を開ける。ガチャリと音がして、部屋の中にいた人影が、勢い良く
振り返った。

「咲……」

 予想通り、王は美しい顔を涙で濡らしている。
 ほんの少しの間、会っていないだけなのに、その翡翠色の瞳がなぜだか無性に懐かしい。本
当に帰って来れたという思いが溢れ、自然と頬が緩む。

「……ただいま」

 床に座り込んでいる王の近づき、声をかけたとたんに、王の美しい顔が歪んだ。無言のまま
力いっぱい抱きしめられる。

「お、王様?」

 締め付けられて息が苦しい。頭を無茶苦茶に撫でられる。

「……っ咲、咲!」

 かすれた声で何度も名前を呼ばれる。小刻みに震える王の背中に、そっと腕を回す。

「ごめんなさい、王様」

 王が無言で首を振る。顔は見えないが、また泣いているに違いない。その証拠に、咲の名を
呼ぶ声が、段々と泣き声に変わっていく。
 幼い子どものようにしがみつく、王の髪をゆっくりとなでる。

「もう大丈夫です。私は帰ってきましたから」
「うん……うん!」

 それでも王は、離れようとしない。しがみ付いたまま、耳元で囁く。

「咲が戻って来てくれると、私は信じていた。好きだよ、大好きだよ」

 こちらに向けた顔は、涙でぐちゃぐちゃになっている。それでも、金色の長いまつ毛にかかる
涙を見て、綺麗だなと思ってしまう。

「王様、私、たくさん頑張ったんです。自分で考えて、自分がしたいようにしました。間違ってい
るかもしれないけど、でも、頑張りました」

 今になって、ようやく感情が追いついたのか、急に涙が溢れ出す。それをみて、今度は王が
頭をなでてくれる。

「頑張ったね。咲は偉い」

 その言葉が、どうしても聞きたかった。

「私、王様の側にいます。王様の側にいたいんです」

 やっと見つけたこの気持ちは、きっと嘘ではない。

「私も王様が好きです」

 王は驚いた後に、くしゃりと子どものように笑う。涙と鼻水でぐちゃぐちゃのこんな汚い顔は、
他の人には見せられない。

(こんな汚い顔を見ながら、可愛いと思ってしまう、私はもうダメね)

 ずっと聞きたくて聞けなかったことも、今なら聞くことができる。

「王様。もし、私が黒獣じゃなかったら、どうしていましたか?」
「そんなの簡単だよ。新しい法律を作っていた」
「え?」

 王は無邪気に笑う。

「咲が、私の側にいてくれるような、法律を考えて作っていた」

 その言葉に絶句する。

「黒獣法は、歴代の王が、側にいて欲しい人を繋ぎとめるために必死で考えた、王族のわがま
まだよ」

 王という職務についている間は、妻帯も出来ず、妾も取れない。それでも、側にいて欲しい人
に出会ってしまったら、いったいどうしたらいいのか。そこで、過去の王は考えた。

 これは人じゃない。獣なのだ。

 子どものような言い訳でも、王が言えば冗談にならない。持てる全ての権限をいかし、無理を
通して道理を引っ込める。

『だから、側にいてください』

 黒獣法は、王からの熱烈な愛の言葉だ。だから、おかしく狂っている。

「変な国」

 そんな世界が、もう前ほど嫌じゃない。
 しばらくすると、王は涙を拭いて立ち上がった。

「咲が戻って来てくれたから、私は王にならないと」

 そう言うと、咲の頬に口付けをする。

「王様、今回の件は、誰も悪くないんです。私が勝手に……」

 王の一指し指が、そっと咲の唇にふれる。

「いいんだ。この件は、咲が頑張ってくれたから、咲の判断に任せるよ」

 王は犯人を知っているのだろうか。複雑な思いが過ぎる。

「さぁ、もう少しだけ頑張ろう。これが終わったら、一緒に夕食を食べようね」

 王になった王は、咲を残して公務に向かう。それを見送った後、咲は賢者の部屋へと向か
う。

(やっぱり信じられない。賢者さんが犯人だなんて)

 そんなことは気のせいで、この扉を開けると、いつも通り本に埋もれていて「どこに行ってい
た」と、不機嫌な声を出すのだろう。
 相変わらず鍵のかかっていない部屋の扉を開けると、いつもの机に賢者がいなかった。

 賢者は、他の部屋に続く扉の前に佇み、ドアノブに手をかけている。

 ガチャリ。ガチャリ。

 何度捻っても、扉は開かない。

「賢者、さん?」
「どうしてだ……」

 振り返った賢者を見て、咲は息を飲んだ。

「どうして、開かない?」

 漆黒の瞳が、咲を真っ直ぐ見つめている。耳にかかる少し長めの黒髪が、フードの下から見
えている。

「もう、待てない」

 絶望の穴を覗きこんだような暗い瞳が、助けを求めている。

「早く帰りたい」
「もしかして、元の……世界に?」

 性格悪いと言われていた前王の獣。しかし、とても賢いとも言われていた。目の前の人と、全
ての噂がカチリと当てはまる。
 開かない扉の前で、帰りたいと訴えかける黒い獣。

「もしかして、その扉の向こうが……元の世界?」

 賢者は微かに頷く。

「お前は、王の側を一度離れて、自分の意思で戻って来た。ならば、俺の苦しさが分かるだろ
う?」

 仲間だ。それは、この激しい痛みが分かる仲間。

「王がいなくなったこの世界の絶望が、お前にもようやく分かるだろう?」

 賢者は泣かない。一粒の涙も流さない。代わりに、咲の瞳に涙が溢れてくる。

「……賢者さんが、黒獣?」

 最愛の王を失った、前王の黒獣。
 どうして今まで気がつかなかったのか。

「前王は美しい銀髪の女王だった」

 賢者の独り言のような呟きで、全ての疑問が溶けていく。

「どうして……王様を置いていったんですか?」
「置いていったのではない。俺が見捨てられたんだ」

 日に日に弱っていく王を、側で見ていることがどれほどつらかったか。

「俺は、彼女が王でなければいいと思った。俺は、あの日、王に一緒に逃げようと言った」

 その頃には、政治にも口を挟めるほどの権力を得ていたし、商船団と無理な取引が出来るく
らいの金を持っていた。だが、そんなものは別に欲しくなかった。彼女の側にいるために、彼女
を助けるために必要だったから、手に入れただけだ。

「王でも黒獣でもなくなって、二人で旅に出よう」

 その言葉に、とても嬉しそうに彼女は頷いた。

「だが、王は、来なかった。彼女は、俺といることより、王であり続けることを選んだ」

 心のどこかでは、彼女が来ないと分かっていた。王族は、王であることを心底誇りに思ってい
る。

「だったら、それでいいと思った。一人で商船団に乗り込み、一週間砂の海を彷徨った。それで
も、王が忘れられず、国に戻ると、王は床に伏していた。俺に会った三日後に、静かに息を引
き取った。それが真実だ」
「そんな……」

 咲の瞳から、涙が流れ落ちている。

「咲、俺はいったいどうしたら良かったのだろうな」

 今でも、その答えは出てこない。

「……分かりません」

 咲は、泣きながらも視線を逸らさない。

「でも、賢者さんに出会えて、賢者さんに愛されて、前王様は幸せだったと思います」
「そう、かな」

 前王は幸せだっただろうか。短過ぎる人生を、この狭い檻のような城の中で終わらせてしま
って。

「そうですよ。だって、愛した人と共に生きられたんだから」
「そうか……」

 胸が痛い。彼女がいなくなってから、色を失っていた世界が歪んでいく。彼女が息を引き取っ
た瞬間でも、流れなかった涙が、今更ながらに溢れてくる。

「そうだな」

 もう立ち上がれないほど、病魔に蝕まれた身体を、ベッドに横たえ「お帰り」と囁く。そんな彼
女に聞いてみる。

「お前は幸せだったのか?」

 記憶の中の彼女が、ふわりと微笑んだような気がした。







つづく



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