清夏月 22日 数日後、それは突然起こりました。 広間で、大臣や騎士達と軍議を行っていたお姫様に何者かが攻撃をします。 『危ない!』 私は、とっさに跳躍しお姫様を口に加えると、今、お姫様がたった今、立っていた場所に、トス ッと矢が刺さります。 それを見たお姫様は、悲鳴一つ上げず、「頭上より敵襲です!散開なさい!」と叫びます。 「ひ、ひぃいい」 悲鳴を上げ逃げ出す者、剣を抜き構える者、悲鳴を聞きつけ駆けつけた騎士達、次々に矢が ささって行きます。 「なぜ、敵が進入しておる!?防御壁は作動していないのか?魔道師どもは何をやってお る!??」 両手で頭を抱えているおじさんが叫びます。 「キンブス卿、今はそれどころではありません!皆、一度、広間から出るのです!サクラちゃ ん!」 『はい!』 お姫様の冷静な声を耳にしながら、私は高く跳躍します。 「西の窓です!」 おそらく矢が飛んできた方向から判断したのでしょう。お姫様の言葉通り、複数の黒い影が見 えます。 「あーあー見つかっちまった」 そう言って立ち上がった男には、緊張感のかけらもありません。 しかも、「お前、外してんじゃねーよ!」と、隣で弓を構えていたガーゴイルの頭をポカッと殴っ ています。 特に特徴のない茶髪の青年。その青年に私は見覚えがありました。 『ま、魔王様!?』 魔王は、こちらを見てぽかんと口を開けます。 「あれ?もしかして、あの時の将来有望なお嬢ちゃんか?」 何がどう有望なのか、聞いて見たい気もしますが、今はそれどころではありません。 『魔王様、なぜここに?』 「そういうお嬢ちゃんこそ、なんでいるの?」 まったくその通りなのですが、お姫様の味方になっているということは、魔王の敵になっている ということなので、答えに困って黙っていると、魔王は先に答えてくれます。 「お嬢ちゃんと約束しただろ?被害は最小限に留めるって。戦を終わらせるには、頭を叩くの が一番早い。だから、オレは、人のトップを叩きにきた」 そのトップはもちろんお姫様のことです。 『だ、駄目ですよ!!』 「え?どうして??」 『だって、だって……私はお姫様をお守りするのが仕事なのです!お姫様を倒すなら、私を倒 してからにしてください!!』 「え?そうなの??」 魔王は私を指差しながら、隣のガーゴイルに訪ねます。 『私が知ってるわけないじゃないでしょーが……』 それもそうだと、魔王も頷きます。 「困ったなー。お嬢ちゃんとの約束のために早く終わらせようと思っていたのに、そのお嬢ちゃ んを倒さないと、戦争が終わらないとは」 腕を組み、うんうん悩む姿ですら緊張感のない魔王。 この方が、ピリピリと緊張することってあるのでしょうか?あったとしたらどういう状況なのか少 し気になります。 「魔人の混合型の俺がいうのもなんだけど、魔物の混合型って厄介なんだよな……」 魔王は私を見ながら、指を折っていきます。 「えーと、グリフォンに、そのウロコは蛇系の水妖?目にも何か違う魔物の属性が入っていそう だな……その尻尾は、ケルベロスか!?ということは、水も火も風の属性も効かないってこと だよなー……麻痺と石化も無効化しそうだ……」 魔王は、顔をしかめて嫌そうに目を細めます。そして、その後、私ににっこり微笑み両手を広 げました。 「後百年待とうと思っていたけど、もう、面倒だから、嫁にこねぇ?」 『………………………は?』 魔王の予想外すぎる言葉に、思考がついていかず、フリーズします。 何を言ってるのでしょうか、この方は。ゴーレム(女)さんに振られて、自暴自棄になっているの かもしれません。 とりあえず落ち着いてもらおうと思い、羽を羽ばたかせて魔王から距離をとると、「もっと離れ て!サクラちゃん!」と言う声と共に、頭上から人影が舞い降り、魔王がいたバルコニーを粉 砕します。 『わぁああっ!?』 西の窓は、派手に崩れ去り、そこには大きな穴が開きます。もうもうと立ち込める煙の中から、 飛び出た人影は、パンパンと汚れた服を払います。 そこには、相変わらず髪が左右にピョンピョン跳ねまくっている勇者がいました。その顔は、無 駄に凛々しく引き締まり、なぜか本気で怒っています。 「サクラちゃんをナンパするなんて、不届千万!ねぇ、お父さん!!」 「誰が、お父さんだ、誰がっっ!!!?」 その視線の先には、全身黒ずくめのご主人様。 浮遊の魔法を使っているようで、何もない空間に立っています。そして、本当に今まで、地下の 書庫に篭もりきりだったようで、衣服はほこりに塗れ、髪はボサボサ、うっすらと髭も生えてい ます。 『……ご主人様、お久しぶりで何ですが、かなり汚いですよ。お風呂に入ってきた方がよくあり ませんか?』 ご主人様は、表現しがたい顔をすると、やれやれとため息をつきます。 「お前は久しぶりに会っても変わらんな」 何がいいたいのかは分かりませんが、表情から、馬鹿にされていることは確実です。 『せっかく教えてあげたのに』 もう、その汚い姿でお姫様の前に現れて、嫌われてしまえばいいです。 「悪の魔道師は多少汚くてもいいのだ」 妙な持論を持ち出します。まぁ、確かに、そうかも?とか思わないこともありませんが。 『あ……れ?何で、クシァートにいるはずの勇者様がここに!?』 まさかとも思いますが、最悪な結論が頭をよぎり、体が震えます。 「安心しろ、クシャートが陥落したのではない」 「そうだよサクラちゃん、大丈夫大丈夫!クシァートには、グダル先生がいるからね。それより、 クシァートの攻撃が、どうも陽動くさいって、王子が言ってね。クシァートが陽動なら、責められ るのはウィルサルでしょう?」 グダル先生と聞き、王子に足蹴にされていた白の賢者様が頭を過ぎります。 ぜんぜんみえませんでしたが、そう言えば偉い方でした。 「ウィルサルに行けって王子が煩くて」 その言葉で、最後に見た王子の真剣な願い。 "妹のアリアの生存" きっと、彼女を守るためにも勇者にはウィルサルに行って欲しかったのでしょう。 そう思うと、胸が締め付けられるように痛くなります。どうか、優しい双子の兄、そして、私の始 めてのお友達も無事でいてくださいと、心から祈らずにはおれません。 「その途中で、おと……じゃなくて、魔道師様も連れてきたよ」 「お前が連れてきたのではなかろう。急に塔に現れたお前を、俺がここまで転送してやったの だろうが」 ご主人様と勇者は、まったくもって正反対ですが、合わなさ過ぎて、実はいいコンビなのかしれ ないとも思います。 ご主人様は、キョロキョロを広間を見渡すと、「エリア姫は無事か?」と私に聞きました。 『無事に決まっているじゃないですか!?私は、お姫様のために生きているんですよ!?』 パンッと私の側面で風船が割れたような音がします。 『ほわっ!!?』 「よくやったと言いたいところだが、お前は、誰の、使い魔だ?」 見るとご主人様がうっすら笑っていて、非常に怖いです。 『それは、いちおうご主人様ですけど』 「いちおう?」 『でも、ご主人様もエリア姫が怪我したら嫌でしょう?』 そう訪ねると、ご主人様は少しも悩まずに、「そうだな」と真顔で答えます。 『なんだかんだいいつつ、ご主人さまもお姫様のこと好きですよね……』 「……」 ご主人様は妙な間を空けた後、コホンとわざとらしい咳をします。 「エリア姫には、これからもっと働いてもらわないといけないしな。俺の右腕として」 その言葉にカチンと来ます。 『右腕?』 鋭い獣の目を細め、にらみつけると、勇者がまぁまぁとなだめます。 「話の流れは良く分からないけど、喧嘩はいけないよ」 その隣では、「そうだそうだ」と、なぜか魔王も頷いています。 とたんに、勇者を包む空気が変わります。にっこり笑っているはずなのに、目がまったく笑って いません。 「あれ?さっきのナンパ師?おかしいな、仕留めたと思ったのに」 勇者は、軽く後ろに跳躍すると、魔王と距離を取り構えます。魔王はハンと鼻で笑いました。 「あれくらいで、魔王を倒せると思うなよ、クソガキが!!」 「え?貴方が魔王!?じゃあ、このどこにでもいそうな人が、サクラちゃんが言ってた、ゴーレ ム(女)の間男さん!?」 「どんな紹介のされ方だ、オレは……」 魔王が何か言いたげにこちらを見ましたが、さっと視線を避けます。私は、嘘はいっておりませ ん。勇者は驚愕の表情を浮かべます。 「ゴーレムの次はサクラちゃん!?いったいどんだけストライクゾーンが広いのさ!?」 勇者の繰り出すパンチを足場を動かずに平然とかわしながら、魔王は答えます。 「馬鹿野郎!!オレは強い女が好きなんだよ!つか、三百歳越えたら、もう年の差なんて関係 ねーんだよ!!」 勇者の頭をパンと平手打ちし、吹っ飛ばした後、「大丈夫!ロリコンじゃねーから!ちゃんと、 後百年くらいは待つからな!」と私にいらぬフォローをしてくれます。 魔王は、壁に激突した勇者の頭を片手でむんずと掴み、ギリギリと締め上げます。 「お前こそ、サクラちゃんサクラちゃんと馴れ馴れしい!人のくせに、獣型の魔物に手を出そう とは、いったいどういう性癖だ!?」 勇者は、両手で魔王の腕を掴むと、腹筋だけで、くるりと身体を持ち上げ、そのまま、魔王の 顔面に蹴りを入れます。 「せ、性癖って言うなーーー!!僕のは純愛だ!愛に種族なんて関係ないんだよ!」 世界中の武道家たちが、青くなって逃げ出すような戦いを繰り広げながら、くだらなさすぎる会 話が続きます。 その光景を眺めながら、ご主人様が、「……馬鹿馬鹿しくなってきたのは、俺だけか?」と呟き ました。 『本当に馬鹿馬鹿しいです』 二人そろってため息をつくと、ふと、フェリアちゃんの言葉が読み返ります。 "なぁ、お前の主は、何してんねん?魔族に支配されるくらいやったら、奴に世界征服されたほ うがまだましや" 『そうだ……そうですね!』 私はご主人様に、向き直り真剣に提案をします。 『ご主人様、このわけの分からない人たちはほっておいて、世界征服しましょう!』 ご主人様は、一瞬目を見開きましたが、すぐににやりと極悪な笑顔を浮かべます。 「当たり前だ。俺はそのために地下に篭もっていたのだからな」 ご主人様は、汚い服の下から、薄汚れた一冊の本を取り出します。 どうやら地下にこもり、この本を探していたようです。 「魔族というものは人と違い、生まれたその瞬間に強さが決まっている」 『へ?そうなのですか?』 「そうだ。魔族が唯一、人に劣っている点をあげるなら、それは“成長できない”ということだろ う。人は常に成長しつづける生き物だ」 その言葉で、私はとんでもないことに気がついてしまいました。 『え?では、魔族最強の魔王様と、成長する人との混合型の現魔王様って……』 「そうだ。やつは史上最悪の成長する魔王だ。 勇者がレベル上げをしている間に、やつのレベルも上がってゆく」 『ええ!?ずるいというか、何というか、どうやって倒すのですか!?』 ご主人様は、私の質問に答えず、本を指でなぞりながら呪文の詠唱を始めます。 それは今まで聞いたことのない言葉の羅列です。言葉が長く連なっていくと、ご主人様の体が 青く発光し始めます。 いったい何がおこるのでしょうか?ワクワクドキドキしながら、見ていると、急に景色が歪み、空 間がねじれていきます。 『は!?え、ちょっと!!?』 酔ったみたいな感覚を味わい軽く吐き気がこみ上げます。 ご主人様に苦情を言おうと顔を上げると、そこには、荒野が広がっていました。 ビョウビョウと風が吹き、尻尾の毛がさわさわと流されます。 ご主人様は、ふぅと額の汗を袖でふくと、「まずは、舞台と観客の確保」と満足げに言いました。 荒野には、私とご主人様以外のたくさんの人もいます。おそらくウィルサル城にいた人、全員を ここに連れてきたのかもしれません。 これにはさすがの魔王も「強制転移だと!?」と声をあげ驚き、その傍で、勇者がおえーと吐い ています。……気持ちは少し分かりますが、そこは我慢して欲しかったです。 ご主人様は、エリア姫を見つけると、ちょいちょいと手招きします。 「あら、魔道師様。これはいったい……?」 困惑しながらも、近づいてくるお姫様の肩をご主人様はポンと叩きます。 「囚われの姫確保。後は、最大の敵を用意すれば、物語は終盤だ」 嬉々とするご主人様。 『あの、でも、ご主人様、そんなにスゴイ魔術を使った後で、魔王様や勇者様と戦えるのです か?』 ご主人様はにっこり笑います。 その笑顔は、今まで見たこともないような、まるで天使のように純粋で、私は背中にゾクリと悪 寒が走りました。 ご主人様は、ポンと私の頭に手を置くと、「強敵、確保」と満面の笑みを浮かべます。 『い、いやぁああああ!!!?』 とっさにバサッと羽を広げ、逃亡を図りますが、すでに遅く、ご主人様は、またもや聞いたこと のない呪文の詠唱を始めます。 『無理です無理です!!一介の使い魔が、魔王様に勝てるわけないでしょう!!?』 私の苦情をまったく無視して、詠唱を続けるご主人様。 呪文と共に、私の身体は、メキッゴキッと変体します。 『ぎゃぁああァアアアアア!!?』 「さ、サクラちゃん!?」 お姫様の心配する声が聞こえます。 「大丈夫だ。呪文により一時的に、潜在している血の力を最大限まで引き出しただけだ」 「し、しかし」 お姫様の言いたいことは分かります。ただでさえ、強烈な混ざりっぷりを披露していた私です が、ご主人様の呪文により、身体は3倍ほど膨れ上がり、さらにものものしい姿になっていま す。 『……なぜ、顔が3つもあるのですか……』 いつもの獅子のような顔の他に、龍のような顔と、鳥のような顔が視界に入ります。 「ほう、お前の祖先には、龍とグリフォンの血が強く混ざっていたようだな」 『羽も増えているのですが……?』 鷲のような羽根の他に、蝙蝠のような羽もパタパタと動かせます。 「まぁ、そのようなことより、尻尾に蛇がいることのほうが驚きだがな」 ご主人様に言われて、後ろを見るとシャーと蛇が赤い舌を出します。 『ひぃいい!!!な、なんですかこれはぁあああ!!!?』 「古い文献に、受け継がれた血の力を解放して、強くなる方法と言うのがあったのでな。 お前で試して見たのだ。お前の混ざりっぷりは類をみないほど激しいからな。 しかし、一度で成功するとは、さすが天才魔道師様だな、俺は!」 フハハハハハっとご機嫌で笑うご主人様に、無言でブンッと右手を下ろします。 「のわっっ!!!?」 可笑しな叫び声を上げながら、必死に転がりよけるご主人様。 「おまっっ!!自分の攻撃力の高さが分かっているのか!?そんなことしてみろ、俺なんぞ即 死だぞ!即死!!」 『天才魔道師様なんでしょうが!?これくらいじゃ死にませんよ!』 ダンダンッと本気で潰しにかかると、お姫様が止めに入ります。 「サクラちゃん。お気持ちは察しますが、今はそれどころではありませんわ」 お姫様に庇われるご主人様を見て、ジェラシーを感じつつも大人しく従います。 『で?これからどうするのですか?』 伏せをした状態で、グルグル唸りながらご主人様に問いかけます。 「駒は全てそろった。後はうまく動かすだけだ」 ご主人様は、楽しそうに説明します。 「使い魔が、魔王と勇者を倒す」 『そ、そんな簡単に言わないでくださいよ!?』 「まぁ、勇者は俺がなんとかしてやる」 『は、はぁ……?』 「そして、エリア姫、いや、今は同盟国を束ねる女王が、俺に忠誠を誓う。すると、俺による世 界征服が成立するというわけだ」 ご主人様が、わざわざ呪文を詠唱してまで、"観客"を作った理由が分かった気がします。 集まった観客には、魔王をも倒す圧倒的な力と、お姫様が忠誠を誓う姿を見てもらわないとい けません。それは、誰も見ていないところで行われても仕方のないことです。 『う、うーん、なぜかお遊戯のような気もしますが……』 お姫様をちらりと見ると、とても深刻な顔をしています。 「とても合理的だと思いますわ。でも……」 「でも?」 ご主人様の問いに、お姫様は透き通った青い目をそっと伏せます。 「それでは、私は一生女王として生きなければなりませんわ。だって、魔道師様、世界征服した 後、私に世界を任す気でいらっしゃいますでしょう?」 ご主人様は、じっとお姫様を見ます。 「嫌か?」 だいぶためらった後に、お姫様はコクリと頷きました。 「よし、なら止めよう、作戦Bに変更だ」 『え?……あっさりしているんですね』 まぁ、お姫様が幸せなら、私は何でもいいですが。 ご主人様は、「おーい、そこの馬鹿ども」と魔王と勇者に手を振ります。 「初対面で馬鹿と言われるとは」や「ひどいなー」とか言いながら、二人は大人しくこちらに来ま す。 「いい作戦があるのだが、こちらに乗らんか?」 その言葉に、魔王はフッと笑います。 「何だ、それは?もちろん、オレ様にとっても良い話なのだろうな?」 「当たり前だ。魔王も勇者も、姫も満足する方法だ」 「へーなになに?」 「聞くだけなら聞いてやる」 集まってきた魔王、勇者、お姫様にご主人様は、こそこそと話します。 話を聞き終えて、三人は一様に驚きました。 「それは、とても理想的ですわね」と、お姫様が、嬉しそうな笑顔を浮かべます。 「まぁ、オレも目的を達成できるから、不服はないな」 魔王も腕を組みながら頷きます。 「僕はこの戦争が早く終わるなら何でもいいよ」 勇者は、爽やかに笑います。 「では、これで決定だ」 ご主人様は、私に向き直ると、「俺の言う通りに行動するのだ」と言って、私の背中に跨りま す。 「ご主人様、いったい何を始めるのですか?」 「俺は、今回二つの脚本を用意した」 ご主人様はなぜかとても不機嫌です。 『脚本?』 「作戦Aは俺のための脚本だ。俺が世界征服をするための話」 『では、作戦Bは?』 ご主人様は「ちっ」と舌打ちをします。 「作戦Bは、俺以外の奴のための脚本だ。俺以外のやつらの利益を考えた話」 『ご主人様……』 あの、自分さえよければ、他人なんてどうなってもいいと思っていたご主人様が、人のための 作戦を考えていたことに驚いてしまいます。 以前のご主人さまなら、きっと作戦Bなど存在しなかったことでしょう。 「仕方なかろう!?どうしても、俺のしたいことと、他の奴らの利益がかみ合わなかったのだ」 ふて腐れるご主人様を見て、私は込みあがってきた笑いをかみ殺します。 こうしてご主人様の作戦により、世界はとても陳腐な劇を見ることになります。 それは、魔王と、勇者と、お姫様、そして魔法使いのお話。 つづく 次へ 「世界征服」TOPへ> |