清夏月 7日 洗濯日和 長い雨季が終わり、じわじわと暑くなってきました。 私は、洗濯物を干している手をとめると、ふぅと額の汗を拭います。 「あっ」 それは突然でした。突然分かりました。 私の呟きに、隣で洗濯物を干していた勇者が反応して、「どうしたの?」と近づいてきます。 相変わらず、髪は外側にぴょんぴょん跳ね、爽やかにピンクのエプロンを着こなしています。 私はありまま感じたことを口にしました。 「今、魔王様が、誕生しました」 「へ?」 勇者は首をかしげますが、そうなのだから、そうとしか言いようがありません。 それはおそらく魔の者の全てに一斉に発せられた連絡事項のようなものです。 私がまだ産まれる前の話ですが、前の魔王が亡くなった時も、一斉に魔族や魔物はその事実 を感じ取ることができたと聞いたことがあります。 「これ、お願いします!」 私はまだ中身が残っている洗濯籠を勇者に押し付けると、走ってご主人様の部屋に向かいま す。 陰気臭い扉を開くと、そこには相変わらず書物が所狭しと積みあがっています。 「うっ三日前に掃除したのに、なぜこのようなことに?」 いろいろ文句はありますが、今はそれどころではありません。 本の山を倒さないようにそっと中央のソファに近づきます。 そのソファの上には、相変わらず全身黒ずくめのご主人様がふんぞり返って本を読んでいまし た。 私に気がつくと、不機嫌そうに眉をしかめます。 「なんだ?」 その偉そうな態度に、むかつくなーと思いながら、いちおう重要なことなので報告しておきます。 「魔王様が誕生しました」 ご主人様は、軽く目を見開くと、本を横に置いて、肘をつきます。 「ほう?」 その目は、「で?」と先を促しています。私はとりあえず用件だけ伝えることにしました。 「しばらく休暇をください」 「なぜ、魔王が誕生したら、お前に休暇をやらばければならんのだ」 それもそうだと思いますが、このまま引き下がるわけにはいきません。 「魔王様が誕生したら、魔族は一度謁見しないといけない決まりだそうですよ。 まぁ謁見といっても広間に集まって、魔王様の顔を見て"へー!この人が魔王かぁ強いらしい から喧嘩売らないようにしないとなぁ"と思う程度らしいですけど」 全てがらしいとか曖昧なのは、この三百年ほど魔王が不在だったせいです。 三百年前に亡くなった魔王が、後継者を決めなかったせいで、王座を狙う者たちの間で、バト ルロワイヤルが展開されました。 そして、それは延々と今日この日まで続けられていたのです。 「ほう、魔王か、興味があるな」 そう言うご主人様は、なぜかとても楽しそうです。 「俺も行くぞ」 「ええっ!?ご主人様たぶん魔族に集団で襲われてしまいますよ? 魔族の中には、人間が大嫌いな方や、未だに食料にしている方もいますし。 まぁ別に私はご主人様がどうなってもかまいませんが」 「……かまわなくないだろうが」 手招きされ、近づくと、グリグリと頭を締め上げられます。 「いだだだだだだ!ひどいっっ忠告してあげたのに!?」 「ええい、本気で不思議そうな顔をするな、馬鹿者!!」 仕上げのように、パシッと頭を叩くと、ご主人様は腕を組みます。 「行って来ていいぞ」 「本当ですか!?」 「ああ、ただし、向こうの情報を出来る限り入手して来い。 精霊が住んでいない魔王領の情報はなかなか入手できないからな」 こうして私は、しばらくの間お暇をいただくことになりました。 「気をつけて行って来て下さいましね」 お姫様がとても心配そうな顔をします。 その横には、洗濯が終わったのか、空の洗濯籠を抱えた勇者。 「サクラちゃん、魔族同士は争っても、殺し合いには発展しないって本当?」 勇者の言うことは、合っているようで間違っています。 「魔族も殺しあったりしますよ。人と一緒です。 ただ、喧嘩はしても、戦争はしない、というだけです」 魔族や魔物は、個々の能力が抜きん出ているため、集団になる必要がなく、また集まって協力 し合うということがとても苦手です。 まぁ、協調性が皆無ともいえますが。 勇者は、少し躊躇いながら「僕も一緒に行きたいな……」と呟きましたが、そこはあえてスルー です。 ご主人様に獣型に戻してもらってから、私は飛び立ちました。 清夏月 10日 くもり それから、3日後。ようやく魔王領の魔王城に辿り着きました。 天井が高い大広間には、すでに多くの魔物や魔族たちが、一目新しい魔王を見ようと集まって きています。 キョロキョロしていると、私の周囲で「混合型…か?」「激しく混ざっているな」と言う声が聞こえ ます。 (ううううっ) 肉食獣の身体を覆う蛇の鱗、背中には鷹のように雄雄しい羽、そして、血走った目に、耳まで 裂けた口。狼のようなしっぽは、力なく垂れ下がっています。 多種多様な姿の魔族の間ですら目立つこの容姿。本当に、両親がうらめしいです。 広間の壇上に立った、ヨボヨボの緑色のご老人が、マイクに向かって「魔王様のおなーりーー」 と声を張り上げます。 そのとたんに、ズンッと広間が揺れました。 広間に集まっていた魔族が、動揺していると、ドガァアアと広間の壁が粉砕されます。 「きゃあ」「ぎゃあああ」「うぉおっ!?」 様々な悲鳴が巻き起こり、混乱した中から現れたのは、大広間の天井に届くくらい巨大なゴー レムです。 『あ、あれが魔王様!?』 皆、そう思った瞬間。小さな人影が、壇上に躍り出ます。 スタッと軽やかに降り立った者は、外見は、まったくの人に見える男です。 「ちょっと、待て!今から就任式だ!!」 男は、ゴーレムに向かって叫びます。ゴーレムは、雄たけびを上げながら、その小さな男に、 巨大な腕を振り下ろします。 ドガシャァアン 腕は、壇上の中心にめり込み、男は即死。 「待てって、言っているだろうが!?」 ではなく、腕を避けて、さらにその腕の上に上っていました。 『待てるかぁああああ!!』 ゴーレムの方向は、広間中を振動させます。 広間中の魔族が、いったい何事!?と見守る中、二人(二匹……?)の戦闘は続きます。 『オレの、オレの女に手をだしやがって!生かしておけねぇええ!!』 ドガッと反対の壁が、こなごなに崩れ落ちます。 「バーロー!!外に女作って、リディアさんに寂しい思いをさせてた貴様にそんなこと言う権利 はねぇ」 男は、ゴーレムの腕の上をタタタッと走りのぼると、ゴーレムの顔面に腕を振り上げます。 「「『む、無理だ!!(でしょう)』」」 私を含め、その場にいた全員の心が一致しましたが、男は躊躇うこともなく腕を振り下ろしま す。 すると、パァンと音を立てて、ゴーレムの顔の一部が粉砕しました。 「「『えええええ!?』」」 ぐわっ!?と声を上げて、ゴーレムが顔面を押さえます。 「生かしておけない……それはこっちの台詞だ」 男がもう一度腕を振り上げたとき、またもや、広間がズンズンッと振動しました。 『ちょっ!?ええっっ今度は何ですか!?』 地面に伏せ、頭を抑えていると、ズガシャァアンと無事だった広間の壁が粉砕されます。 『待って!』 そこには、壇上にいるゴーレムより、少し小柄なゴーレムがいました。 『こ、この展開はっっ!!』 もしかして、もしかすると……と思いながら、男とゴーレムの反応を見ていると、男は予想通り 「リディアさん」と呟き、ゴーレムは『お前……』と言います。 どうやら壇上にいる男は、冷えたゴーレム夫婦の前に現れた間男のようです。 ゴーレム(女)は、倒れている夫に走りよります。 『グラン様、もう、もうやめてください!』 「リディアさん、どうしてです!?そいつより、オレを選んでくれたんじゃ!?」 やっている本人達は真剣かもしれませんが、見ているこっちとしては、昼ドラ気分です。 「どうなるんだ、コレ?」「おもしろいな」「人型とゴーレムは新しいな」 周囲では、こそこそと感想が飛び交います。 私的には、人型とゴーレムという、種族を超えすぎた大恋愛はありえません。認めません!! 産まれてきた子どもが可哀想ですっっ!!つか、どんな子どもが産まれるんですか!? どうにかして、夫と元の鞘に戻って欲しいところです。 ゴーレム(女)はさめざめと泣きます。 『すみません、グラン様。貴方にお会いして、まるで人生の春のようでした』 「なら!!このどうしようもない男を捨てて、オレと一緒に来てください!」 間男は、ゴーレム(男)に止めをさそうと腕を振り上げます。 その攻撃から守るように、ゴーレム(女)は、夫を抱きしめます。 『やめてください!それでも……それでも、私は、このどうしようもない彼が好きなのです!捨て られないのです!!』 『お前……』 『……あなた』 ゴーレム(男)は、目を瞑り『すまない』と呟きます。そして、『やり直そう』と。 ゴーレム(女)は嬉しそうに頷いた後、恐々と間男を見ます。 間男は、怒りを抑えこめるように、自分の腕を握っていました。 『グラン様』 心配そうな声に答えることなく、間男は声を絞り出します。 「……行ってください」 『グラン様、あの……』 「行けといっている!!」 カッと睨み付けた視線に、ゴーレム夫妻はビクリと身を震わします。ゴーレム(女)は、大事そう に夫の肩を支えると、間男に申し訳なさそうに頭を下げた後、広間から出て行きました。 粉砕された壇上の上には、間男が一人残されています。 「リディアさん……お幸せに……」 そう、今にも泣きそうな顔で、でも、僅かに微笑みながら間男は呟くのでした。 END 「ってなるかぁああああ!!?」 間男は、膝をつき、ガンガンと床を叩きます。 「うわぁあああん!本気だったのに!!本気で愛していたのに、リディアさーーん!!!」 激しく男泣きする間男に、ヨボヨボヨボとマイクを持ったご老人が歩み寄ります。 「ちょっと、爺さん、空気呼んで!空気!!」「危ないぜ、長老!!」 周囲の魔族たちも止めようと声をかけますが、ご老人は、躊躇いもせず、間男にマイクを渡そ うとしました。 そして、暴れていた間男の頭にガツッとマイクが当たります。 キィーン スイッチの入ったマイク特有の音が響き、広間は沈黙しました。 間男は、よつんばになったまま、グリグリと頭にマイクを押し付けられています。 『ど、どうなるんですか、これ……?』 人型でも、ゴーレムを素手で粉砕するような男です。男がその気になれば、ここは血の海にな るかもしれません。 ゴクリと唾を飲み込み、魔族たちは静かに戦闘体制に入ります。 しかし、男は「あ、すんません」と言いながら、マイクを受け取ると、こちらに向かってペコリと頭 を下げました。 その顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃです。 ズズッと鼻をすすりながら、男はいいます。 「あ、この度、魔王に就任したグランディアスです。よろしくお願いします」 それは、間男が、魔王になった瞬間でした。 パチ……パチ、パチ 反応に困った魔族達のまだらな拍手が聞こえます。 ゴーレムを粉砕する鬼のような男は、一見は、茶髪の青年。村人A。まったくの普通の人に見 えます。 「……人?」「魔族??」 広間に集まった者たちも、正体が分からないようで戸惑っています。 魔王は、それに気がついたのか、マイクに向かって説明を始めます。 「あ、オレ、いちおう魔族っす。人と魔王の混合で……」 一度、シンッと静まり返った広間に、「「「「ええぇえええ!!?」」」と驚愕の声が響きます。 その反応に驚いたように、魔王は目をぱちぱちします。 「あれ?前の魔王が、どっかのお姫様さらって来たって話知らねぇ?けっこう有名なんだけどな ぁ。あれが、オレの親父とお袋なんすけど……」 いや、それ、500年以上前の話です。私も聞いたことはありますが、おとぎ話程度だと思ってい ました。 (え、ということは、この魔王様、500歳以上ってことですよね? しかも、魔王争いを勝ち残った勝者……。み、見えない……) それは私だけでなく、この場の魔族全員が思ったことでしょう。 呆然としている私達を置いて、緑色のご老人は、懐からブルブルと震える手で、手紙を取り出 します。 「あ!親父からだ」 手紙を受け取った魔王は、ビリッと躊躇いもなく封を切ります。 「これは、初代魔王から続いている、遺言の書じゃ。先代魔王から、次代の魔王へ。そこに書 かれていることは、必ず守らなければならない決まりじゃて」 ご老人の説明を聞きながら、魔王は「へー」と答えます。有難みも何もあったものではありませ ん。 「えーと何々? "人を殲滅せよ"」 魔王が読み上げた言葉に、魔族は一斉にわが耳を疑います。 「もしくは、"魔族による世界征服"……だってさ。あーあー親父とお袋、仲悪かったからなぁ… …」 そんな重大なことを仲が悪いという可愛らしい表現で済ませないで欲しいです。 「つー訳で、殲滅なんて不可能だし、オレ的には人に何の恨みもないので、これからオレは、世 界征服を目指します。オレにつくか、人側につくか、傍観するか、それは個人の自由。 ただ……」 魔王は、右手をぐっと握り締めます。 「邪魔する奴は、容赦しねぇ」 そこんとこよろしくーという軽いノリで、魔王のお披露目会は終わりました。 後に残された魔族、魔物達は、呆然と去り行く魔王の背中を見送った後、一斉に広間から去り ました。おそらく、各部族が集まり、これからのことを話し合うのでしょう。 それは、まるで蜘蛛の子を散らすようです。 (こ、これは……私もご主人様にお知らせしなければならないと思いますが、このまま帰ったら きっとまたグリグリされます) "魔王領の情報をできるかぎり入手してこい"そういうご主人様の声がよぎります。 出来る限りってどれくらいでしょうか??とりあえず、私は魔王が去っていった方へとこそこそ 歩き出しました。 石造りの廊下は、ゴーレムが通った後なのか、あちこち激しく壊れています。 魔王はどこ?と思いましたが、広間からすぐ近くの部屋から、号泣が聞こえてきます。 (……絶対、ここです) 扉の隙間から中をのぞくと案の定、魔王がベットに突っ伏して泣き喚いています。 「うわぁああああああ!」 初めは激しく暴れたり、叫んだりしていた魔王ですが、疲れたのか、落ち着いてきたのか、そ のうち静かなシクシクシクという泣き声に変わります。 (こ、これは……話しかけたら駄目です) もう、帰ろう、そっとその場を離れようとすると、「待て」と怖い声で呼び止められます。 振り返ると、すぐ背後に魔王が立っていました。 『う、うわっ!?』 驚く私を無視して、「子ども?何をしている?」と魔王は訪ねます。 その目は、赤くはれています。私は何を言っていいのか戸惑い、つい、言いたいことを言ってし まいました。 『だ、大丈夫ですか?』 魔王は、きょとんとすると、右手伸ばし、わっしわっしと豪快に私の頭を撫でました。 そして、にかっと涙目のまま笑います。 「お嬢ちゃんは、いい子だ」 その人の良さそうな笑顔に、つい気が抜けてしまいます。 『あ、あの、さっきの話……』 「ん?ああ、世界征服のことか?」 『は、はい!人を……人を殺すのですか?』 魔王は、んーと視線を彷徨わせた後、首を振ります。 「いいや、さっきも言ったけど、オレは人が嫌いじゃない。オレにも人の血が混ざっているしな。 だから、被害は最小限に留めて世界制服をするつもりだよ、お嬢ちゃん」 にこっと笑う魔王に、もう一度確認します。 『殲滅……なんてしませんよね?』 魔王は、もう一度がしがしと頭を撫でてくれます。 「ああ、しない。お嬢ちゃんに約束する」 そして、少し遠くを見た後、「どちらかというと、今はゴーレムを殲滅してしまいたい気分だしな ……ふっふふ」と悲しそうに呟きます。 「さぁ、早く家に帰りな」 『はい!』 駆け出した私に向かって、魔王は言いました。 「お嬢ちゃん!100年たったら、もう一度おじさんの所においでー!悪いようにはしないからー」 満面の笑みを浮かべ、こちらに手をふる魔王の表情はとても穏やかです。 しかし、私の背中にはなぜかゾクリと悪寒が走るのでした。 清夏月 14日 来たときと同じように3日かけて、私は東の塔に帰りました。 今は、ご主人様に魔王領の話を報告中です。 「えと、そこでですね、こうリディアさんが、走りよって来て……」 「……使い魔」 「間男をとめるのですよ!そしたら、浮気者の旦那さんが改心して……」 「おい、使い魔」 「そして、間男さんが」 ご主人様がパチッと指を鳴らすと、小さな氷の粒が私の頭上に降り注いできます。 「いたっ!いたたたた!!」 私は頭を抱えてそれを避けながら、目の前のご主人様を睨み付けました。 「何するのですか!?」 「お前こそ先ほどから何の話だ?」 ご主人様の部屋の掃除をしながら、その様子を見ていた勇者が、ぞうきんを絞りながらにこり と微笑みます。 「なんだか、どこかの昼ドラみたいだね。ねぇねぇサクラちゃん、続きはどうなるの?」 「えっとですね……」 「ええい、やめんか!!」 勢い良く机がひっくり返り、分厚い本が散らばります。 「ちょっと、ご主人様!?」 「ええ!?今、掃除が終わったばかりなのに!??」 勇者は本を拾いながら半泣きです。 「ゴーレムの三角関係など、どうでも良いわ!!今度、ウィルサルの精霊にでも聞かせてや れ!」 ご主人様が契約しているウィルサルの精霊は、なぜか昼ドラ的な展開が大好きな色っぽい声 をしたお姉さんです。 「魔王はどうしたのだ、魔王は!」 「いや、だから、その間男さんが魔王です」 その言葉で、ご主人様は目を見開き、勇者様はぽかんと口を開けます。 「じゃあ、魔王はゴーレム……なの?」 「あ、いえ、魔王様は人型でした」 「……え?」 勇者が両手で頭を抱えます。 「ゴーレムと人型?種族的に、それって在りなの……?い、いや、種族なんて関係ないよ ね!?」 なぜか勇者は、必死の形相で私の手を握ります。しかも、ぞうきんを持った手で。 「離してくださいっっ!大・あり・ですよ!人は人、魔は魔!種族は交わらないほうが良いので す!!」 それは、どうしても譲れません。 「まぁ、私も混合型ですし、魔王様も人と先代魔王様との混合だそうですけど」 がっくりうな垂れている勇者を完全に無視して、ご主人様は、腕を組み、右手を顎にそえ、何や ら考え出しました。 「混合……?しかも、魔王に人が混ざっているだと?」 「は、はい」 めずらしく真剣な表情は、怖いくらいです。 「そうか、なるほど……最強の組み合わせだな」 「?」 「他に何か言っていなかったか?」 その質問で、重大なことを言い忘れていることを思い出しました。 「あ、新しい魔王様は、世界征服するそうです」 勇者は、がばっと顔を上げ「ええ!?」と叫び、ご主人様は眉をしかめます。 しかし、ご主人様は、すぐにフッと楽しそうに笑いました。 「なるほど、いよいよ俺のライバルが登場と言うわけか」 誰かこの人、一回殴ってください。 つづく 次へ 「世界征服」TOPへ> |